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知っておきたいインフルエンザワクチンの種類


インフルエンザワクチンの基本

インフルエンザウイルスの種類と特徴

 インフルエンザは毎年流行する感染症であり、その原因となるウイルスには主にA型とB型の2つの種類があります。A型ウイルスはさらにH1N1型とH3N2型に分類され、B型ウイルスも山形系統とビクトリア系統の2つの系統があります。これらのウイルスは毎年変異を繰り返し、新しい株が発生するため、毎年異なるワクチンが製造される必要があります。これにより、流行するウイルスの特徴に基づいたワクチンが提供され、効果的な予防につながるのです。

ワクチン接種の効果と重要性

 インフルエンザワクチンの接種は、「発病」の抑制や重症化の予防に非常に効果的です。特に高齢者や基礎疾患を持つ人にとって、インフルエンザは命に関わる病気となる可能性があるため、ワクチンの接種が強く推奨されています。研究によれば、65歳以上の高齢者では、ワクチン接種により34%〜55%の発病阻止効果があり、さらに死亡阻止効果は82%にも達することが報告されています。したがって、毎年の定期接種が重要であり、流行するウイルスの株に対応したワクチンが必要とされています。

インフルエンザワクチンの種類

不活化ワクチンの概要

 不活化ワクチンは、ウイルスを殺すことで毒性を失わせた状態のものを指します。インフルエンザワクチンの種類として、最も一般的に利用されているのがこの不活化ワクチンです。このワクチンは主に6ヶ月以上のすべての人に接種が推奨されており、特に高齢者や基礎疾患を持つ方においては重症化のリスクを減らす重要な予防策とされています。日本国内では複数の製造会社がこのインフルエンザワクチンを提供しており、ウイルスの「株」についても毎年流行する型に合わせて製造されるため、定期接種として毎年受けることが推奨されています。注射による接種が一般的で、費用は施設により異なりますが、おおよそ3,000円から5,000円ほどです。

生ワクチン(フルミスト)の概要

 生ワクチンであるフルミストは、2023年から日本で使用が開始された新しいタイプのインフルエンザワクチンです。このワクチンは弱毒化されたウイルスを含み、対象年齢は2歳から19歳未満となっています。フルミストの大きな特徴は経鼻噴霧による接種方法であり、鼻にスプレーすることで痛みを伴わない接種が可能です。このため、注射を嫌がる小児にも適しているとされます。費用は1回あたり8,000円(税込)で設定されており、より手軽にインフルエンザからの予防ができる手段として注目されています。ただし、風邪のような症状が副反応として報告されることもあるため、事前に情報をよく確認してからの接種がお勧めです。

4価ワクチンについて

4価ワクチンの構成

 4価インフルエンザワクチンは、A型ウイルス2種類(H1N1とH3N2)とB型ウイルス2種類(山形系統とビクトリア系統)の計4種類のウイルス株を含んでいます。この構成により、4価ワクチンはより広範囲のウイルスに対応し、感染予防効果を高めることができます。この変化は、2024年のインフルエンザシーズンから導入され、より多様なウイルスに対する防御効果の向上が期待されています。国内では4つの製造会社がこのワクチンを生産しており、同年のワクチンは中身が統一されているため、安定した供給が可能です。

3価ワクチンとの違い

 従来の3価ワクチンは、A型ウイルスのH1N1とH3N2、そしてB型ウイルスのいずれかの系統、通常は山形系統またはビクトリア系統のいずれか1種類のみを含んでいました。一方、4価ワクチンはB型の2系統双方を含むため、ウイルスの予測変動に対応しやすくなっています。この変更により、予防の幅が広がり、特にB型ウイルスの感染が予測される年には、より適した防御が可能となりました。これにより、インフルエンザワクチンの種類と特徴がより多様化し、多くの人が安心して定期接種を受けられるようになっています。

ワクチンの接種方法と留意点

注射による接種

 インフルエンザワクチンの接種方法として一般的なのが注射による方法です。不活化ワクチンを使用し、生後6か月以上のすべての人に接種が推奨されています。この方法はほとんどの人に適しており、特に高齢者や基礎疾患を持つ方にとっては優れた予防策です。毎年10月から接種スケジュールが組まれ、流行するウイルスの株に基づいて製造されたワクチンを受けることができます。接種部位の腫れや軽い発熱といった副反応が稀に見られることもありますが、効果的にインフルエンザの重症化を防ぐことが期待されます。

経鼻噴霧による接種

 新しい接種方法として登場したのが経鼻噴霧による接種です。特に痛みを伴わないため、子どもたちにとっては歓迎される方法です。この経鼻ワクチンはフルミストと呼ばれ、2023年10月より2歳から19歳未満の方向けに使用が開始されました。生ワクチンを使用しており、鼻にスプレーする形で投与されます。接種のストレスを軽減しつつも、流行前の早期接種を心がけることで、効果的な予防が可能となります。鼻づまりや軽い風邪症状が副反応として報告されることがありますが、一般的には安全性が確認されています。